くっ、頃瀬……

承認ぎぶみー

童貞がニューハーフヘルスで童貞を捨てた話

女の子に振られたのでニューハーフヘルスに行ってきました。
 

当方童貞恋愛経験値ナシ。
まだ諦めていないから失恋じゃないという謎の自己正当化をしていたら傷が広がりまくり完全にメンタルをやられました。
恋愛で悩むとかスイーツ(笑)かよとか思ってたんですけどね。
普通に生きてても好きな人からの愛がなければ意味がないとか言ってましたからね。
恋愛が童貞に与える影響は半端なかったです。「ガンジーが助走つけて殴るレベル」という言い回しがあるけどそれ風に言うと「メンヘラ馬鹿にしてた童貞がポエム読みだすレベル」。
失恋から数ヶ月たったわけですが流石にそれだけたっても電車の中だったりバイト中に急に泣きだしそうになるのは自分でもヤバいと思ったわけですよ。
そんな折それは何度目かのバイト中に突然泣きそうに(一応接客なので我慢するようにはしていた)なっているときに突然降りてきた。
そうだニューハーフヘルスに行こう。(当時ニューハーフヘルスという言葉は知らなかったけれどイメージとしては知っていた)
これは考えれば考えるほどこれは素晴らしいアイデアであるように思えた。
それは恋愛じゃねえ性欲だみたいな吹っ切れ方は何度か聞いたことがあり、振られたから先輩にソープ連れて行って貰ったみたいな話も聞いたことがある気がする。
しかし単純に普通のソープに行くには問題があって僕は完全にこじらせていたので好きな女の子以外とは性行為したくないし、したら自分のその子への気持ちを否定しているような自己嫌悪に苛まれるだろうなという思いがあった。
そこでニューハーフヘルス。
女の子じゃなくて男の娘ってわけですよ。
女の子じゃないので自意識のアレに苦しまされる心配もない。
あと面白そうだったし。
初体験がニューハーフ。
失恋ですべてを失ったように感じている人間に与えるアイデンティティとしてはまずまずの気がした。
失恋とニューハーフヘルス。
字面を見てもインパクトがあるのは後者だ。

 

バイトから帰りさっそくネットで検索してみると名古屋の周辺にあるようだったのでそこにすることにした。
サイトを見て好みの子を選ぶ。
結局黒髪清楚系、オタクが好きそうな子を選ぶことにした。
僕の好みはオタク受けがよさそうな外見の女の子だ。
電話で予約をして指名とコースを告げ、ついでに初めてなんですけど気を付けることありますか?と聞いておけばいいよな……
初めてのこういう電話に普通は緊張してどうすればいいかわからないものなのかもしれなかったが少なくとも知識に関してはアキバ神社(ツイッターで有名な風俗店です)をフォローしていた僕に隙はなかった。
しかしいざ電話を掛ける段となるとなかなか行動する気が起きない
~時になったら電話を掛けようという試みを数度繰り返し(つまりビビッて何回か掛けられなかった)、覚悟を決めてダイアルする。
「はい、(店名)です」
 声質的には二〇代前半の男性、所謂ボーイという奴だろうか。
「ア、アノハジメテナンデスケド」
声が出ない。
しかし向こうは仕事で慣れているのか、指名の子はいるか、コースはどうするかなどを事務的に聞かれ予約が完了する。
ちなみに電話かける前は90分コースにするつもりだったのにビビッて60分コースを選びました。
「ご指名の子は逆アナルNGとなっておりますがよろしいですか?」
「アッ、ハイ」
一瞬意味が分からず混乱してしまうが曖昧な返事を返す。
「ア、アノバショハ……」
「あっ、待ち合わせ場所はホームページに乗っている○○(アパート名)まで来たらお電話いただければお迎えに上がります。」
「アッハイ」
「ではお待ちしております」
こうしてニューハーフヘルスの予約が完了した。

 

当日は普段通りの朝だった。
最近趣味で始めた株とポーカーをやりながら夕方まで過ごす。
一応身だしなみに気を使って最近購入した服を着る。
口臭等にも気を付けて匂いそうな食事は避けてブレスケアを使用した。
そうこうしているうちに時間が近くになったので電車で名古屋駅まで移動する。
日が暮れかけた街を歩き目的地へと向かう。
街の喧騒を背を向け歩く僕の中には、あの時こうしておけばとか、 もしも自分がこうだったらなんて決して現実にはなりえない仮定が浮かんでは消えていた。
街の中心から少し離れた住宅街。
そこに待ち合わせ場所のアパートがあるらしい。
迷いそうになりながらグーグルマップを使い周辺の建物を一つ一つ見てまわると三軒目で目的のアパートにたどり着いた。
見たところ時間の所為もあって薄暗くこじんまりとしたアパートだ。
待っている周りを犬の散歩している老人やアパートの住人らしき人が通りかかる度にドキリとする。
目の前を通りかかった猫が黒猫ではなくとら縞であったことに安堵しつつ待ち合わせ場所についたことを連絡するためにホームページからダイアルする。
受け付けは女の声だった。
向こうはこちらの到着を了承するとすぐに迎えに来るといった。
もう一度アパートの方を見る。
何号室かなと思い郵便受けをみてみると配達物がたまっている。
近くの一軒家から出てきた髪の毛がカラフルな女がこちらへ近づいてくる。
まさかという思いが生まれる。

「あっ、ご予約の~」
一軒家かよ!
完全にアパートの部屋を使うと思っていたのでかなりびっくりした。

 

案内されて普通の玄関を開けると普通の内装があり薄めのスリッパを出され少し急な階段を上がり二階へ移動する。
このカラフルな髪の人は本当に女なのかなとか階段を先に歩く女の尻から足にかけてがよく見えるのはサービスなのかなとか本当に普通の一軒家なんだなと思っていると階段も終わり一番手前の部屋に通される。
部屋は薄暗く、ベッドにソファ、ローションのある棚がありBGMとして洋楽が流れている何というか普通に風俗っぽい部屋だった。
ソファに座って待っているとお茶を差し出され予約内容の確認をされる。
 確認が終わると指名の子を呼んでくると言って裏へ消えていった。
今まで感じたことのない空気感に正直僕はここで一度、本当に自分はここに来るべき人間であったのか自分に問わざるを得なかった。

 

「はじめまして~Hです、隣いいですか?」
しばらく待っていると指名の子がやってきた。
ホームページで見たときと印象は違ったがそれは決して悪い意味ではなかった。
ショートカットの髪型のせいか、個人的に気になることが多い輪郭が気にならなかったし凛々しい女の子と言った感じだ。
身長も僕より低くてスケール間で圧倒されるということはなさそうだった。
だがしかし声。思ったより男。
普段あまり意識はしていなかったが自分は女の子の声が好きだったのだなということをこのとき痛感した。
少しの間雑談をした。
こういうところが初めてなの?とか、20歳なの?若ーい緊張しちゃうーというありきたりなやり取りをしたり、ここのように一軒家を借りてる風俗は珍しいこと、客層としては4~50歳の男性が多いという情報を得るなどした。
「じゃあシャワーいこっか」
少々の雑談を経て、そう声を掛けられる。
そういえばここ二階だったよなどうするんだろう。

「下にシャワーがあるので~」
ああ分かった、一回シャワー浴びてまた服着て戻ってくるんだな。
「ここで服を脱いで浴びに行きます」
えっ?マジで?全裸で廊下歩くの?
一応バスタオルは身体に捲くしすれ違わないようになっているみたいだったが心理的抵抗を感じた。
というかまず人前で服を脱ぐのが恥ずかしかった。
向こうは仕事で慣れていくのかするすると服を脱いでいく。
それに続くように僕も服を脱ぐ。
Hさんがつけていた女性ものの下着の下から女性の胸と男性の下腹部があらわになる。
Hさんのち〇こはは小さかった。
僕は恥ずかしさを悟らせないよう自分のそれを見せつけっるようにパンツを脱いだ。
「あっこれバスタオルです~」
特に反応はなかった。
小声で礼を言ってバスタオルをまいて廊下に出るとマグネットのボードがあった。
なるほどこれですれ違わないように人の移動を管理しているんだな。
「あっ、ごめんちょっと」
部屋に押し返される。
部屋の前を人が通る音がする。
「ボードそのままになってたみたい……」
大丈夫、だよな?
階段を下りてシャワールームへ向かう。
洗面所と浴室が隣り合ったよくある作りだった。
「うがいしよっか」
薬品と水道水を混ぜたものを渡されうがいをする。
そしてバスタオルを置いて浴室へ。
ボディソープに匂いありとなしの二種類ありどちらがいいか聞かれる。
実家暮らしなのでにおいなしの方がいいかと聞くと匂いありでも問題ないといわれる。
「彼女さんがいると匂いを気にされる方がいるみたいで」
彼女がいるのにニューハーフヘルスに来る人間、業が深そうだ。
ボディソープで身体を洗われるのには正直期待していた。

AVで見たことあるやつだという気持ちになっていた。
まず胸に塗りたくられ洗われる。
ぬるぬるして気持ちいい。
次に下腹部。
「お客さん、もしかしてこういうところ初めてで緊張して……、あっでももうおっきくなってますね」
ぬるぬるして気持ちよかった。
言葉数は少なかったが身体は正直だった。
Hさんが自分の体を洗う、割と雑だ。
股間とか手に水をためてパシャッってする感じだった。
「私の身体みてどうですか?」
細身の男性の体に女性らしい脂肪を乗せたようになっていて何というか感想に困った。
「何というか、すごいなって」
決して不快感があるわけではなかったが何というか感想に困った。
「おっぱいもあるんですよ」
突然のおっぱいアピール。
確かプロフィールではBカップになっていたはずだ。
触ってみる。
ろくに触ったこともないのに何だかおっぱいぽくないと感じた。
いやこれが普通のおっぱいなのかもしれないけど。
「じゃあ戻ろっか」
理想と現実の差異に戸惑う僕に現実が攻勢を仕掛けてくるのはまだこれからだった。
部屋に戻るとベッドに腰かけた。「どんなプレイがしたいとか希望ありますか」
「こういうところ来たことないんでわからないです。というか童貞なので、僕」
「ええ~そうなんですか~きんちょうしちゃいます~」
さっきから思ってたけどこの人割とバレバレの嘘ついてくるな。
「いきなりここに来るなんて珍しいですね」
「面白いかと思って」
「攻めるのと攻められるのどっちがいいですか」
「え~っと、わからないです」
「じゃあお任せって感じでいいですか」
「はい」
何というか文章にして改めて感じてるけど僕ほとんど喋れてないし向こうも対応に困ったろうな……。
ベッドに押し倒されるとまず乳首を攻められる。
自分で触ってもあまり良くないのだけど他人に触られているとなんだかくすぐったくてぼんやりとした気持ちよさがあった。
次に自分の局部を触られる。
人に触られるのは不思議な感じがした。
自分の性感帯はタマ回りだということが分かった。
フェラをされる。
例によって想像ほどは気持ちよくないが自分のものを咥えさせているという征服感があった。
しばらく自分のをされていると相手のをしてみたいという欲求にかられる。
せっかくニューハーフヘルス来たんだしな。
「えっと、僕もやってみたいです」
直接的な表現をするのが恥ずかしくて体勢で相手に察せさせるような感じになる。
大きさは単二電池ぐらいだろうか。
陰毛は剃ってあって脱毛とかじゃないんだなと思った。
「もっと強く触っていいよ、反応鈍めだから」
ホルモンの影響で小さくなって反応も悪くなったらしい。
口の中に入れてみる。吸う、舐めるというよりは転がすと言った方が正しい感じのスケール感だった。
あと思ったほど面白くなかった。
今度は僕がHさんを押し倒す。
鎖骨のあたりから手を滑らせるようにして胸を触……
「あぁん!」
?!
乳首に触れた瞬間にHさんから犬の鳴き声のような喘ぎ声がする。
いや、確かに童貞だとは言ったけれどこれが演技だってことぐらいはわかるよ……。
また僕はここで一つの事実に気づく。
肌の質感が男っぽい。体毛周りとか特に。
体を撫でまわすみたいなプレイはやらなくてもいいかなと思った。
「キスしてもいい?」
「はい」
唇をついばむようなキスをされる。
何度か繰り返されるが感覚的にも気持ち的にもあまりよくなかったので、こちらから舌を入れてみる。
奥へ、とにかく奥へ。
こちらが下手なのか舌が絡むような上手なキスはできなかった。
「激しいのが好きなんですね」
そうか、これははげしいキスなのか……
次にHさんの頭を抱く体制になった。
頭を抱きながら局部を触られる。
「何だか落ち着きた気持ちになります」
「いっぱい癒されてってくださいね」
相手が仕事だとしてもその言葉は心地よくこういう言葉を求めている人の気持ちがわかったような気がした。
その後Hさんが僕を手でイかせようとするがなかなかいかない。
時計を見ると残り15分ほどだった。
「あの入れたりするのってできますか」
「んー。時間ないので延長することになっちゃいますけど」
僕はここでシャワーも時間のうちだというシステムを理解した。
ニューハーフヘルスに来て入れるオア入れられるせずに帰るというのもなんだかもったいない気がしたので延長をお願いした。
Hさんがゴムの向き間違えたり途中で小さくなったりしてしまってゴムをつけるのに少し手間取る。
手で立たせてゴムをつけ終えるとローションをたらし騎乗位の体制になる。
僕の初めては騎乗位になるのかという感慨にふける。
がしかし固く成り切っていないこともありなかなか入らない。
抵抗がありなかなか入っていく感じがしない。
「あっ入った」
え?
感触がしない。
「ん、奥に当たってる」
感触がしないんだけど。
反応がない僕を気遣ってか色々と声をかけてくれる。
「オナホだと思って好きに使っていーよ」
動いてはみるのだけど感覚がないこともあり要領がいまいちわからない。
というか本当に入ってるのか?
空間的には入っているはずなのに入っている感覚がまるでなかった。
もしかして膣内射精障害(膣じゃないけど)ってやつでは。
その後正常位も試してみようとするが挿入への失望感からか固くならずに入らない。
「んー、やっぱはじめはおま〇ことかで慣れてからの方がよかったかな。後ろは上級者向けっていうかー」
感覚がしないのに前も後ろも関係あるのか?
あと他人に卑語を言ったり言われたりすると思いの外恥ずかしいな。
結局挿入での射精をあきらめローションをたらして手でいこうとするがなかなかいけない。
「緊張しちゃってるのかな」
そういってHさんは手を動かす。
なんかそういうトレーニングですかってぐらい動かしていた。
何か素に帰ってそれ疲れません?と聞くと、そんなことないですよと笑顔で返される。
プロの仕事だと思った。

 

その後時間ぎりぎりで射精してシャワーを浴びてHさんに礼を言い店を出た。
帰り際にまた別の客とすれ違いそうになった。
街の明かりへ戻る僕の胸には様々な感情が去来していた。
思ってたより気持ちよくなかったなとか。
ああいった行為は相手に自分を受け入れてもらえるという精神的な充足感の面が大きいのだなとか。
僕ってもしかして膣内射精障害なのかなとか。
そもそもニューハーフのケツって脱童貞のうちに入るのかなとか。
いろんなことを考えているうちに何だか笑えてきた。
つらいことがあっても世界には笑えることがあるんだって思った。
失恋のことを思うとまだ胸が痛かったけれど。
何だか明日は今日よりもいい日になるような気がした。